2011年 冬

八ヶ岳

硫黄岳から横岳縦走
ワンデイ

2011/02/26

鉾岳の西斜面のトラバース


今年は、寒い冬だったが2月に入って急に春めきはじめた。
関東地方は2月12日に大雪となったが、これこそ春の兆し。
我が家の庭にはフキノトウ。母がそれを味噌あえにしてくれた。ほろ苦い春の味覚。
そういえば毎朝、5時44分の始発快速電車を待つホームでも、なんとなく東の空が白んできたことが感じられる。
しかしながら春の訪れは一進一退。
寒気の流入が予報される2月最終土曜日に、田部井君と八ヶ岳の日帰り登山を計画した。
ワンデイだから出発も少し早め。朝3時半に八千代台駅近くの三浦耳鼻咽喉科医院の前で落ち合うことにして土曜日をむかえた。

2月26日(土)快晴

氷点下12度
これは朝6時30分過ぎの美濃戸の気温である。数日間続いた春の陽気が嘘のように冷え込んでいる。標高1690mでこの気温だから稜線は氷点下20度近くにまで達していると思われる。
然るに大失態。手袋を入れたスタッフバックを家に忘れてきた。手元にはインナー手袋しかない。これは撤退かとも思ったが、幸いなことに荷台のカーゴボックスの中に妻のスペア手袋を発見。安堵して7時頃歩き始めた。
赤岳鉱泉はまだ9時前のせいだろうか閑散としていた。「アイスキャンディー」と名づけられたアイスクライミング用の人工氷瀑、それに隣接するように休憩所が設けられている。以前にはなかった施設である。椅子とテーブルが用意されており、風も遮断されているのでありがたい。今日はイベントがあるのか七輪やバーベキューコンロに炭火が熾され、懐かしい香りが漂っている。
ここでまたもや大失態に気がついた。車にサングラスを忘れてきたのだ。雪山でサングラスを忘れたことはかつて一度もなかったから、かなりがっかり。雪山の紫外線は半端ではない。サングラスをしないと雪盲になる恐れがある。1950年のアンナプルナではラシュナルたちがゴーグルを紛失して雪盲になっている。紫外線によるダメージは計り知れない。赤岳鉱泉にサングラスを売っていないかと探したが、置いていなかった。仕方がないので、目をつむって歩くことにして赤岳鉱泉を後にする。
赤岩の頭へようやくたどり着くとそこは北風が吹き荒れていた。体がよろけそうなほどの風圧。まっすぐ歩くことが困難なほどの風。
よろけながら硫黄岳の山頂を経て硫黄岳山荘へと向かう。硫黄岳山荘は休業中だが、建物のかげで風をしのぐことができるだろうと思ったのである。
硫黄岳山荘は雪に埋もれたいたが、玄関前では風の吹込みがない。ここでザックをおろし、テルモスの湯を飲み、カレーパンを食べる。
吹きさらしの稜線を小一時間ほど歩いたので、指は冷え切っていた。サングラスがないことも気になってはいたが、妻の小さな手袋では、指を抜いて暖めることができない。冷たさを通り越して痛い。この痛みを感じなくなった時は凍傷になったということだ。すると田部井君がスペアの手袋を持っているという。さっそく借りる。モンベルの薄手オーバー手袋だったが、指を抜いて手のひらで指を丸めることができるのでまったく問題ない。
横岳の通過は鎖が露出していたため、問題なく通過。
横岳を越えるとしばらくは平坦な稜線が続く。風が強いのでトレースが短時間で吹き消されてしまう。鉾岳で登りなおしを行う。
今年は冬型の気圧配置が強かったので、内陸部に位置する八ヶ岳では積雪が少なく、季節風が強かったために雪が吹き飛ばされてしまい稜線の雪はわずかだ。
八ヶ岳の積雪が増加するのはこれから三月にかけてだろう。
冬季営業を開始した赤岳天望荘には立ち寄らず、地蔵の頭から地蔵尾根を下降する。地蔵尾根の上部は急峻。慎重に下降する。
行者小屋でアイゼンをはずす。
ここ行者小屋から美濃戸まで、夏なら1時間半かかるが、雪道ならば1時間でたどり着けよう。
予想通り16時半前に美濃戸の駐車場に戻ることができた。
帰路は、石川PAの先と江戸橋で渋滞に巻き込まれ自宅に帰りついたのは21時40分だった。

山へ行くたびに毎回思う。ガソリンを50リットルもバラ撒きながら毎週山へ行くことへの罪悪感。とはいえJRの運賃は高すぎるし、夜行列車は廃止され、登山口へと向かうバス路線は年々縮小されている。ガソリン税の一部を公共交通機関の補助に使うというのも施策としては考えられてしかるべきかもしれない。

走行距離:464km、ガソリン消費量:51リットル


美濃戸 06:55
赤岳鉱泉 08:41-09:00
赤岩の頭 10:44
硫黄岳 11:12
硫黄岳山荘 11:28-53
横岳 12:43
地蔵の頭 14:16
行者小屋 15:11-21
美濃戸 16:18




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