2011年 冬

八ヶ岳

赤岳

2011/01/02-03

1月3日、赤岳の下降路として使った文三郎道から望む地瘤のような阿弥陀岳2805mには、野武士のような力強さを感じる
左右に中央アルプス・北アルプスが見える


2011年、新年の妻との初登山は八ヶ岳。美濃戸から赤岳を往復しようと計画した。
年末年始は行者小屋と天望荘が営業しているから、いずれかに宿泊して厳しい冬山の夜を過ごしたい。特に赤岳天望荘の標高は2720m。年末年始に営業する山小屋としては日本最高所。そんな山小屋で一夜を過ごすというのも楽しみの一つである。
今年も無事故で安全な登山を誓って新年を迎えた。

1月2日(日)晴れ

未明の1時45分に目覚まし時計をセットし起床。3時に四街道を出る。
いつもの通り中央高速を小淵沢ICで降り、ローソンで朝食用に弁当を買う。私はスパゲッティナポリタンの大盛り。妻は起きぬけで食欲がないということで何も買わない。
私もかつては朝の食欲がなかったが、夜20時以降に夕食を食べないという習慣が身についてからは朝食を食べることができるようになった。
粉雪の降る舗装路をスリップに細心の注意をはらいながら美濃戸口へと走る。
6時、美濃戸口から雪の林道へ入る。気温は−7℃で道は圧雪状態。問題なく美濃戸の赤岳山荘駐車場に到着。赤岳山荘のおばちゃんは働き者だ。支度を整え、7時20分に歩き始めた。
年末から強い寒気団が入って、日本列島の日本海側は大荒れの状態が続いている。行者小屋への道も凍てついた樹林帯となっており真っ白。
行者小屋は正月だというのに閑散としていた。テントの数も少ない。静かな行者小屋の中に入ってホットミルクとココアを注文し休む。
さてこれからのコースだが、当初の予定では文三郎道から赤岳を経て天望荘へ下るというものだったが、妻の調子を考慮し地蔵尾根を登って直接天望荘へ行くことにする。
ここでアイゼンを装着する。
なれないアイゼン歩行と年末の風邪が治りきっていないのか、地蔵尾根に入って妻のペースががくんと落ちた。森林限界を越える地点で妻をタイトロープ方式でビレイする。私が先頭になりロープに連結された妻が続く。
正月なので、まだ鎖は雪に埋まりきっていない。
14時に赤岳天望荘へ到着。天望荘には海老の尻尾がびっしりと張り付いている。
暗くなるまであと3時間。天望荘から赤岳山頂まで現在の妻の調子では往復2時間といったところであろうか。
妻に問うと「このまま天望荘で泊まりたい」との意向。さっそく小屋の戸を開けて中に入る。
正月の二日ともなると宿泊客は少ないとのことで個室の27号室をあてがってくれた。二階にあるこの部屋の窓は雪に埋まっておらず、窓からは野辺山や奥秩父の山々が見える。狭い部屋だが二人ならば申し分ないスペースで、しかも布団はふかふか。便所には暖房が入っており清潔だ。夏にはお風呂に入ることもできるという。
そしてこの小屋にはハイテク装備が整っている。すなわちインターネット環境、大画面液晶テレビ、液晶プロジェクター、マルチファンクションプリンタなど。見れば無線LANのアクセスポイントまである。
嬉しかったのは夕食。バイキング形式も良かったが、正月と言うことで特別に生ハムとお酒が振舞われたのにはニッコリ。私は日本酒二合とワインをいただいて大満足。
19時に部屋へ引き上げ、ふかふかで暖かい布団にもぐりこんだ。寒さを感じることはまったくなく熟睡できた。

1月3日(月)晴れ

6時過ぎに起床。快晴。氷点下18度。八ヶ岳の稜線上にしては暖かな朝。金峰山の肩から日の出。白銀の山々がバラ色に染まった。
7時10分朝食。朝食もバイキング。おなかいっぱい食べる。
暖かい小屋の中で出発の準備をすることができるというのは幸せなことだとつくづく思う。3000m近い冬の稜線で小屋に泊まる幸せ。宿泊料9000円が価値あるものに感じる。正月の特別サービスとして美濃戸口にある八ヶ岳山荘の風呂の無料入浴券をもらい、テルモスに湯を入れて出発する。
昨日と同じようにタイトロープ方式で妻をビレイしながら赤岳山頂へと登っていく。気温は低いが風がないので陽の光が暖かく感じられる。
冬の赤岳山頂へ登るのは何度目だろうか。冬の赤岳へ初めて登ったのは1973年高校三年生の時だった。あれから幾度となく登ってきた冬の赤岳山頂。今日は妻と二人で登ってきた。
山頂からの展望は申し分のないものだ。奥秩父、富士山、南アルプス、中央アルプス、北アルプス・・・。
下降路は文三郎道を選択する。文三郎道は前半は吹きさらしの岩場の急下降だが、無風状態の今日の天候下では、鎖が露出しがちな分、安心して下ることができる。
標高2640m地点で赤岳主稜取り付きへの分岐を通過。見れば2パーティーが赤岳主稜を登っている。
阿弥陀岳北稜を登っているパーティーのコールを聞きながら急な文三郎道を下っていく。
初春の日差しを浴びながら行者小屋でアイゼンをはずし一休み。
アイゼンをはずすと美濃戸への下りは早い。一時間少々で美濃戸へ到着。美濃戸から美濃戸口への雪道は、気温が氷点下3度と暖かかったため雪が緩み、途中でチェーンを装着せざるを得なかった。
冷え切った手足を八ヶ岳山荘の大浴場で暖めることができた。
15時に美濃戸口を出発し渋滞を経て四街道には18時30分に帰着。
二日間という短い日程の初登山だったが、小屋泊まりを前提とした軽いザック。快適な山小屋での一夜。恵まれた天候。幸福な二日間だった。

今回の年末年始は7連休だった。前半の年末は庭の大掃除で3日間びっしりと働いた。元旦は雑煮を食べて少しゆっくりし、年賀状の返信を書いた。そして2日、3日と赤岳に登った。
年末年始休暇の最終日である1月4日は、年末の大掃除で出た分別ゴミの収集日だったので早朝から妻とゴミステーションを往復した。そして午後から千葉へ買い物に出かけ、妻は海浜幕張のモンベルショップで可愛らしい帽子、私は妻とお揃いのトレッキング用ソックスを買い求めた。
家の中でごろごろとしていると休日は短く感じる。一方で日々活動的に過ごすと休日は充実したものと感じられる。
私にはこの一週間が密度の高い休暇だったと感じられた。ありがたいことだと思う。

走行距離467km、ガソリン消費49リットル。


1月2日 1月3日
美濃戸 07:20 赤岳天望荘 08:50
行者小屋 10:38-11:24 赤岳 09:31-50
地蔵の頭 13;57 赤岳主稜取付分岐点 10:17-25
赤岳天望荘 14:03 行者小屋 11:05-27
美濃戸 12:44







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