2010年 秋

那須

紅葉狩り・朝日岳東南稜

2010/11/06-07

朝日岳東南稜核心部ギャップを越えた妻を写す


もうすぐ81歳になる母が、那須の幸乃湯へ行きたいという。
幸乃湯には本格的な打たせ湯がある。その打たせ湯は湯量と高さが十分にあるので最初は痛いほどに感じるかもしれない。しかしながらそのマッサージ効果は抜群である。
天気予報を見ると土日はまずまずの天候らしい。しかも今年は紅葉が一二週間遅れているようだから、深山ダム周辺は紅葉の最盛期かもしれない。いつものお気に入りサイトでキャンプすることにして週末をむかえた。

11月6日(土)晴れ

80歳の母に寒い思いをさせるわけにはいかないので、テントはダンロップV6、シュラフはモンベルのEXP。更にフルクローズのスクリーンタープと石油ストーブ。これらを朝5時から車に積み込み始めた。
したくが終わって出発で来たのは6時。
案の定、高速道路は大渋滞。小菅あたりから舘林まで渋滞。幸乃湯に到着し、母をおろすことができたのは11時。
予想通り、紅葉の盛り。ダムサイトの水面に映った紅葉が美しい。
更に山奥へ車を走らせ、いつものサイトにV6とスクリーンタープを張り、テーブルと椅子をセット。ストーブに給油し、ランタンをつるす。V6の中にはマットを敷きつめ、厳冬期用シュラフを並べる。一通り終わって、ようやく昼食。
昼食後、周辺へ散策に出る。遠出はできないので、三斗小屋宿方面へ歩いていく。この近辺は落葉松の針のような葉が黄色く色づいている。その中をゆっくりと三斗小屋宿まで往復した。テントに戻って、車で戸田交差点のスーパー池上へ買出し後、幸乃湯で母と合流。
外は冷え込んでいるようだが、スクリーンタープの中に石油ストーブがあるので暖かい。調理のときだけ、車の電源で蛍光灯を灯す。調理が終わってからは、ガスランタンに切り替える。石油ストーブの匂いが懐かしい。私は冷えたビールを飲む。野菜炒めとロースハムの厚切りをフライパンで焼く。白いご飯がとても美味しい。
19時に就寝。ぐっすり眠ることができた。

11月7日(日)晴れ

4時に石油ストーブに火を入れ、再び寝袋に入る。明るくなった6時過ぎに起床。
まずは漬物とアミをお茶うけにして日本茶をのむ。
朝食はカリカリに焼いたトースト。それに目玉焼きとハムと野菜炒め。トーストにはバターをぬる。おなかいっぱい。
サイト周辺の紅葉も素晴らしく、フラップを全開にする。
今日は、テントを撤収してから母を幸乃湯へ連れて行き、私と妻は朝日岳東南稜の予定。
10時に撤収が終わり、母を幸乃湯へおろし、峠の茶屋県営駐車場に到着したのは11時半。
積雪期には大丸温泉の駐車場から歩きはじめるが、雪のないこの季節には峠の茶屋県営駐車場まで車で入れるので標高差も430mしかない。半日しかないこのような日に妻と登るには最適なコースだ。
峠の茶屋県営駐車場の奥から登りはじめる。
3年前の3月に素直と登った時には峰の茶屋へと向かう登山道を登って、途中から明礬沢へ下降した。今回は明礬沢沿いに伸びている林道を選ぶ。この林道は最近補修されたようだ。と言うことは沢の奥に新しい堰堤が追加されたのだろう。
最近、この周辺で雪崩による死亡事故が起きているから、安易なルート選択は禁物だが、雪のないこの季節は落石にさえ用心すれば、このアプローチはとても効率的だ。
ただし路面には上部からの落石が散在しており、落石には十分な注意が必要。
林道に入って15分ほどで東南稜の真下に到着した。林道の終点はダンプカーの旋回場所となっているせいか大きな広場である。案の定新しい堰堤が作られていた。
明礬沢を渡ったところでハーネスをつける。
3月に来た時には雪の斜面だったが、今日はブッシュ帯である。宇都宮アッセントクラブの安藤さんたちは無積雪期でも登っているようなので踏み跡があるかもしれない。おそらくもう少し左へ回り込んて取り付いているのだろうと推測したが、構わず真正面のブッシュ帯に取り付いた。ツツジの藪を30分ほどかけて登りきり、岩場へとたどり着いた。岩は非常にもろく、落石を起こして後続する妻に当てたら一大事なので、慎重に登る。少し登ると予想通り左側から足跡が合流してきた。
朝方は雲の多い空だったが、しだいに雲は消え去って、インディアンサマーを思わせる真っ青な空に私たちは包まれている。ブッシュのない岩稜である東南稜は展望も良く、最高の気分だ。
岩の弱点を縫いながら登っていくと核心部のギャップに到着。ここは良い支点がないので慎重に5mクライムダウン。ホールドも大きく易しいけれど岩がとてももろいから危険箇所だと思う。落ちると死亡事故になる可能性がある。
降り立ったコルから対面を登る。ここも同じように岩がもろい。オーバーハングしているから強引に登りたくなるがホールドを引っ張らないようにして静かに登る。
妻も登ってきて「簡単だったよ」とご機嫌だ。
相変わらずもろいけれど気持ちの良い岩稜を登っていく。剣が峰の山腹をハイキングしている人たちが見える。
山頂直下の快適なスラブを登る。
山頂は快晴。北風が吹いて少し寒い。
北西方面には通いなれた流石山とそれに続く大倉山への山稜が見える。北面には1972年に大木さんと歩いた三本槍とその先へ続くなだらかな稜線がハイマツの中にのびている。
南は那須高原の裾野が広がって、東にはりんどう湖の湖面が青く光っている。
もうすぐ冬がくる。そしてまたひとつ歳を越す。
私たち夫婦が、紅葉の山をめでながらこのようにして登ることのできる残数はいくつだろうか。そんなことを妻と話しながら下山した。


峠の茶屋県営駐車場 11:48
林道終点 12:08-12:18
ギャップ 13:17
朝日岳山頂 14:15-20
峰の茶屋 14:51-15:27
峠の茶屋県営駐車場 15:54





周辺の記録
2010 那須 苦土川 井戸沢 7/25 家族と
2010 初夏 那須 苦土川 井戸沢 6/19 家族と
2010 那須 七千山_水源の森キャンプ 5/15--16 友人と
2009 那須 七千山_水源の森キャンプ&リハビリ 5/2--5 家族と
2007 那須 三斗小屋宿、北温泉11/2--11/4 家族と
2007 初夏 那須 苦土川 井戸沢 5/27 家族と
2007 那須 朝日岳 東南稜3/4 家族と
2006 那須 苦土川 井戸沢 9/30 家族と
2006 初秋 那須 苦土川 井戸沢 9/24 一人
2002 初夏 那須 苦土川 井戸沢 6/15 家族と