2007年 春

那須

朝日岳東南稜

2007/03/04

朝日岳東南稜核心部ギャップを越えた素直を写す

三日前に高校受験の終わった素直を誘った。
「どんなところへ行きたい?」
「一年ぶりの山だから、短いところ」
「金曜日の夜から土日で行ける?」
「土曜日は部活の送別会があるから午後からなら行ける」
と言うことで、チョイスしたのが宇都宮アセントクラブのホームページに載っていた那須朝日岳の東南稜。
朝日岳への登山経験は私が34年前の1973年夏に一度、素直が2005年夏に中学2年の林間学校で峰の茶屋から登っている。宇都宮アセントクラブの記録ではなかなか楽しそうで、どんな山登りができるのだろうかとわくわくしながら出発した。

3月4日(日)雨のち曇り

前日の3月3日、次女の朋子が生まれて初めてアルバイトをするという。幼稚園の頃からの仲良しであるセイちゃん、ユウちゃんの三人でアルバイトを申し込んだらしい。そしてスーパーマーケットで試食販売をすることになった。おゆみ野の「せんどう」というスーパーマーケット。あの内弁慶の朋子が試食販売員とは一見の価値がある。ということで午前中に母や妻と見物に行って、朋子が試食販売していた山菜おこわ、五目おこわ、赤飯を5000円分ほど買った。
山菜おこわなど8人分のパックをもって15時前に四街道を出発。20時頃、板室温泉近くまで入って道端の空き地にテントを張って山菜おこわを食べて焼酎を呑み就寝。
3月4日朝起きて五目おこわを食べて7時半にキャンプサイトを出発。山菜おこわは冷えて硬くなっても美味しい。
大丸の無料駐車場へ入る。駐車場にはNHKの取材班などが入ってなにやら騒々しい。山岳救助訓練の取材らしい。
駐車場からゆっくり歩き始めたが、雨が降り出した。ロープウェイの山麓駅の軒下で雨宿りをしてしばらく様子を見る。止みそうにないので、仕方なく雨具を着て峠の茶屋まで歩く。峠の茶屋から夏道通しに峰の茶屋へと続くトレースを登っていく。雨はそこそこ強く、登山指導所の軒下でまたもや様子見のために大休止。
休んでいるとハイカーの親子連れがいる。子供は小学生のようだが半ズボン。母親はジーパンに雨具を着て笠を杖にして登ってきた。ここで引き返すのかと思っていたら登っていった。無謀だ。
夏道を歩いて行き、峰の茶屋が見えてから少し登ったところに「こんなところに高山植物が」と書かれた看板がある。この近辺から対岸の東南稜に取り付くために明礬(ミョウバン)沢へと下る。このあたりは傾斜もゆるく問題ないが、この地点よりも下流部は途中で崖があって明礬沢へ下降することはできない。
沢底に到着し、いくつかあるコンクリート堰堤の一つに腰をかけてアイゼンを装着する。アイゼンを初めて履く素直は大喜びで近辺を走り回っている。
小雨は止んだが上部はガスに覆われている。取り付き点が不明瞭だが登りやすそうなところを選んで適当に登っていく。
しばらく登ると本格的な岩稜になって核心部のギャップに到着。岩がもろいので懸垂下降の支点に不安を感じ、クライムダウンする。ギャップからの登り返しは少しハングしているので迫力がある。ガバホールドを利用して抜ける。クライミングジムでトレーニングしているクライマーが一般的になった昨今では風前の灯であるRCCUピッチグレード。このRCCUピッチグレード基準で評価すれば難易度はW級である。
ここから登りづらいガレ場をたどって行く。小さなピークを二つほど越えて、朝日岳頂上直下に到着。少し左へトラバースし岩場を直登する。
山頂には小さな石造りの鳥居がある。記念写真を撮影して下山。
剣ケ峰のトラバースは慎重に行く。
素直は一年ぶりの山登りで少し疲れたようだが、まずまず満足とのこと。私も楽しかった。
帰りがけに板室温泉の幸乃湯で汗を流す。帰路は16時に幸乃湯を出て19時48分に自宅へ帰りついた。
おかげでNHK大河ドラマ「風林火山」に間に合った。
私は小学校を卒業した春に大阪の叔父の家に遊びに行き、従兄弟に連れられて梅田の映画館で「風林火山」を観た。山本勘助役は三船敏郎だった。今回のNHK大河ドラマ「風林火山」の山本勘助役は内野聖陽。私は藤沢周平の「蝉しぐれ」をNHK金曜時代劇で観てから内野聖陽の大ファン。藤沢周平の世界と内野聖陽がだぶって印象付けられているのだろう。一昨年、仕事で山形県の鶴岡に一度だけ行ったことがある。ここが藤沢周平の海坂藩の舞台だったかと思うと感慨深かった。



ロープウェイ山麓駅の前で私のリクエストに応え
ふざけながらムーンウォークをする素直



東南稜を少し登ったところから見る茶臼岳



岩場にはほとんど雪がない



核心部のギャップへクライムダウンする素直
W


ギャップからの登り W



朝日岳山頂直下の岩場 V



朝日岳山頂

下山途中から撮影した東南稜のギャップ

3月4日
 大丸駐車場 8:30
 ロープウェイ山麓駅 8:56--9:13
 登山指導所 9:30--9:45
 下降点 10:13--10:20
 東南稜取り付き点 10:45--10:58
 ギャップ 11:54
 朝日岳 12:53
 峰の茶屋 13:42
 大丸駐車場 14:28


掲示板で宇都宮アセントクラブの安藤さんが指摘されたように、朝日岳東南稜は山頂より南側へ派生しており、本来は南稜と呼称してしかるべきものである。ここでは先人に従い東南稜としたが、南稜と呼称を変更しても良いのではないだろうか。