ファミリー登山の実際

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4.装備について

子供向け個人装備

特別な装備はありません。ごく普通の登山装備です。
でも、必ずしも登山用品店で全てを揃えているわけではありません。最近は一般のスーパーマーケットの衣料品売り場にも、高機能マテリアルによる製品がいくつか並んでいます。グラム単位の軽量化を必要としているわけでもなし、このような製品で充分事足ります。だって、1971年の私の登山装備と比較したら夢のような素材のオンパレードです。1971年当時の防寒具はビニロンヤッケとセーターだったんです。それを思えば綿素材さえ避ければ、最近はダクロン製衣類でさえイトーヨーカ堂においてあるんですから・・・。ちなみに1988年のグランドジョラス北壁の装備を参照してみてください。イトーヨーカ堂で購入したパジャマで登ったんです。
しいて言えば、衣類で気を使っているのは雨具です。ゴアテックスはやはりそれなりのマテリアルです。ただし困るのが子供は成長が早くすぐに小さくなって着用できなくなってしまうことです。長女と次女は女の子でもあり、小学校高学年頃には体格もそれなりになってきましたので、早々とモンベルのフレネイパーカーとパンツを誕生日のプレゼントとして揃えました。困ったのが長男です。兄弟の中でも一番年下で、同級生の中でも体の小さい長男には、大き目の雨具の裾上げなどで対処しました。小学校低学年頃の長男がそのような雨具の上着を着ていると、まるでポンチョを着ているようです。
さて、雨具などは多少大き目を購入して裾上げなどをして対応することもできるのですが、靴だけはどうしようもありません。長女が履いていた靴を次女に回し、さらにそれを長男が履いたり、甥の靴を長男が履いたりというように私の「父母の孫7人」で使いまわし、出費が最小限になるように工夫しています。最近は長女と次女が成長期の終わりにさしかかり、やっとこのような買い替えの出費も少なくなりました。

ビレイシステム関連ギア

テント関連は別にしても大所は岩場を通過するときに必須となるビレイシステム関連のギアです。女房・長女・次女は自宅の登山用品物置に無数にあるハーネスからウェスト部分だけをはずして使わせています。一番下の長男は特別に私の自作フルボディーハーネスを着用させます。クライミングの基礎知識があればハーネスは簡単に自作することができます。テープの結合部は糸で縫わず、必ず結び目にすることに気をつけます。ロッキングカラビナとの連結部はディッセンダーリングにします。
さらに、8mmの30mロープ一本と9mmの6mと8mのロープ各一本。ロッキングカラビナを5〜6個。いろいろと応用範囲の広いディッセンダーリングを2個。各種スリングを2〜3本。といったところです。
本格的なクライミングルートの場合には、これらとは別途それなりのクライミングギアをそろえます。

ストック

女房と私はストックを二本づつ持ちます。特に私は30kgのザックを背負うので、ストックの助けを借りなければここ2・3年、女房子供についていけなくなってきたからです。冬に大型バケット付きのストックを持ち込んだことはありましたが、無積雪期にストックを持ち込んだのは1990年が初めてでした。素晴らしい威力。体を上に移動する瞬間に軽くストックをついてやると、太ももの負担が激減するのです。下山時のひざの負担を軽減してくれることは言うまでもありません。当時はスキー用のストックを使用していましたが、近年は専用のストックが登山用品店に並んでいます。1998年に私はT字型グリップのスプリング内蔵タイプに買い替え、女房も同じタイプを使用しています。

ビニール袋あれこれ

【丈夫な大型ビニール袋】
雨対策としてのザックの防水は、ザックの内側にビニール袋を入れてその中に装備を詰め込みました。最初の頃はゴミ用のビニール袋を使っていましたが、すぐに穴があくので現在はホームセンターで購入した厚手のビニール袋を使っています。このビニール袋は米を入れる袋のように厚く丈夫です。3枚ほど余分に持っていき、テント場で靴を入れたり、余分な装備を入れて外に出しておきます。狭いテントの中を少しでも広々と使うための工夫です。
【ジッパー付きフリーザー用Ziploc】
DoCoMoの携帯電話やビデオカメラなどの電子機器、救急医薬品などはジップロックという食品冷凍用のジッパー付ビニール袋に小分けしておきます。サイフ・ライターなどこまごまとしたものもジップロックに包んだ上でウエストバックに入れておきます。ジップロックは応用範囲が広いので5枚くらい余分に持っていきます。
【おにぎり用ビニール袋】
そして忘れてならないのがオニギリ作成用のビニール袋です。薄手のペラペラのごく普通に売っているものです。下味をつけたご飯を中に入れて形を整えればオニギリの出来上がりです。袋のままザックの雨蓋にしまえば、非常に簡単。家族五人で一日10袋使う計算で持っていきます。
忘れがちな装備として次の二つをあげておきます。
【ゴミ袋】と【お買い物袋】
大型のゴミ専用ビニール袋を用意した上で、丈夫な布製の大型買い物袋を持っていきます。ゴミは一旦ビニール袋に入れた上で買い物袋に入れ、ザックの外にカラビナで吊るしていきます。一度ビニール袋のまま吊り下げて歩いていて、袋が破れひどい目にあったことがあるからです。
なお、お買い物袋はナイロンか綿製のもので、私は生協の綿製お買い物袋を使用しています。ユニクロのナイロンバックもいいかもしれません。

その他の一般装備

北アルプス稜線上ののテント場のほとんどは、水を山小屋で購入しなければなりません。まとめて購入するために10リットル用のビニールタンクを持っていきます。
また、不意の雷雨や雹に打たれ、手がかじかんでつらい思いをすることがまれにあります。夏山でも毛糸の手袋が必須です。ハンガロンのような大げさな手袋は必要はなく、薄手の毛糸の手袋で十分です。毛糸というところが肝心です。最近はフリースなどの化学繊維の手袋も出回っていますが、雨の中では水を吸い、モコモコしてホールドやロープ操作に支障をきたし具合が悪いのです。毛糸の手袋はその点、たとえペラペラの薄手であったとしても十分に暖かく過ごすことができます。


さて、いろいろ装備に関して記述してきましたが、「何を持っていくべきか」から「何を持っていかないか」という発想の転換が大切なのは身にしみてわかってはいるのですが、子供づれともなるとそこまでの境地に達することがなかなかできないと正直に告白しておきます。