2010年 初夏

丹沢

蛭ヶ岳

蛭ヶ尾根(市原新道)から鬼が岩北東尾根(白馬尾根)周遊
2010/05/22

蛭ヶ平のブナ林

丹沢でも最も奥深い位置に聳え立つ丹沢の最高峰蛭ヶ岳。
蛭ヶ岳へと早戸川からダイレクトに突き上げている尾根がある。蛭ヶ岳山荘や神ノ川ヒュッテで販売されている「北丹沢ガイドブック」には蛭ヶ尾根と紹介されているものである。
今回は、その蛭ヶ尾根を登ろうと計画した。
「ブナの森が美しい素敵な尾根」だった。

5月22日(土)晴

いつもの通り、子供たちの朝食を作ってからの出発となった。すでに6時半。
中央高速はすでに渋滞で、稲城から八王子まで二時間の表示。東名も事故渋滞。稲城で一般道へ降りる。
早戸川の最上流に位置する丹沢観光センターの先にある魚止橋に到着したのは9時半。ちょっとした駐車スペースにも車がびっしりと停車しており、相当な人気であることが伺える。
小さなスペースに無理やり縦列駐車。準備を整え10時に歩き始める。
伝道から山道へ入る。10分ほどの急登をこなすと廃屋となった造林小屋に至り、その後は水平道となる。黒部の下ノ廊下のような転落すれば死亡事故必至と言うような危険箇所がいくつかあるので要注意。
雷平から原小屋沢方面へ右折。若干不明瞭ながらも左岸(上流に向かって右側)に踏み跡があり、これをたどっていく。「北丹沢ガイドブック」にあるF1を越えたところで右岸に渡り少し登ると雷滝である。「北丹沢ガイドブック」では15mとあるがもっと高そうである。
蛭ヶ尾根は雷滝の手前から左の斜面を急登していく。道は雷滝上流へと続いているが直進せず、左の尾根筋へと続く踏み跡を登る。
小さな薙ぎを左へとトラバースし尾根筋を登るとプラスティックの皿が道しるべとして括り付けてある。これを過ぎて杉林の鹿防護柵に沿って急坂を登る。蛭ヶ尾根の中でも一番苦しいところである。
植林地帯を抜けて休憩。腰を下ろし足元をみると蛭。数匹がズボンのすそや靴についている。しばらくのあいだ蛭駆除に時を過ごす。
湯を沸かしチリトマトヌードルを食す。食べているあいだにも蛭が這い登ってくる。標高1100mなのでそろそろ蛭限界を越えたかなと思ったが甘かった。
食後は頑張った。ナメクジのような歩行速度ながら休まないで登る。
標高1300m付近から蛭ヶ尾根の様相は一変。
その名は「蛭ヶ平」
ブナの森。こんな素晴らしいブナの森を丹沢で見ることができることに驚く。
そしてところどころにモミの木。
さらにしばらく登ると遭難碑。宮木正直君遭難地昭和17年2月14日とある。昭和17年というから1942年。
日米開戦が1941年12月8日だから三ヵ月後。明治神宮外苑球場における出陣学徒壮行会が行われたのが1943年10月21日。
そのような時代背景を考えると父に近い世代を感じ、十字を切って天使祝詞で祈る。
遭難碑の少し先、標高1500m付近で大休止。今日は暑いせいもあって汗が滴り落ちる。したがって水の消費も多い。一人当たり2リットルの水を担いでいたが残量は心もとない。
下草はコバイケイソウ。ゆっくり登っていくとブナ林が切れて山頂直下の草原地帯へ。
蛭ヶ岳山荘ではおばちゃんを含む中高年団体が大声でおしゃべりをしている。脇をすり抜けるようにして山頂へ。山頂のテーブルに腰をかけ湯を沸かす。霞んだ富士を真正面に見ながら握り飯を食べる。
下山路は白馬尾根。鬼ヶ岩の頭から早戸川の雷平へと落ちている尾根で、一昨年敦子と登下降したことがある。蛭ヶ岳山荘でポカリスエット500ccペットボトルを2本を1000円で購入し、鬼ヶ岩へと向かう。鬼ヶ岩ではコイワザクラが咲き残っていた。
白馬尾根も良い尾根。気持ちの良いブナの笹原を下り、ちょっぴりうんざりするような杉の植林地帯を抜けてやっとのことで雷平。足を投げ出して休み水を飲む。どうやら暗くなる前に車まで帰りつけそうだ。危険な水平沿道を用心して歩き夕方18時30分に魚止橋へ帰着することができた。

走行距離250km

周辺の記録
2008 丹沢 蛭ヶ岳 白馬尾根 11/15 家族と

四街道 6:30
丹沢観光センター 9:30
魚止橋 9:30--10:05
伝道 10:20
造林小屋 10:32
雷平 11:00--11:30
雷滝 11:57
1100m地点 12:36--13:10
蛭ヶ平 13:40
遭難碑 14:18
1500m地点 14;25--14:40
蛭ヶ岳 15:17--15:38
鬼ヶ岩の頭 16:04
雷平 17:28--17:40
伝道 18:20
魚止橋 18:35
四街道 21:00


廃屋となった造林小屋跡



雷滝



植林地帯を抜け切って登る



「宮木正直君遭難地」昭和17年2月14日と読める



尾根上部はコバイケイソウが繁茂



三峰を背景にして蛭ヶ岳山頂直下を登る



鬼ヶ岩から蛭ヶ岳を振り返る



白馬尾根の笹原を下る



蛭ケ尾根全景