2001年夏 前穂北尾根

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ぼくの登山日記

北アルプス 前穂高岳 北尾根
千葉県四街道市立四街道小学校4年
賀来素直

今年の夏休みは中3の敦子お姉ちゃんが塾で行けません。朋子お姉ちゃんとぼくとお父さんの3人で行くことになりました。登る山は北アルプスです。
5月にお父さんが庭にクライミングボードを作ってくれました。今年の夏休みは穂高でクライミングをすることになりました。

8月11日

今日は朋子お姉ちゃんの塾があるので夜に出発です。午前中にお父さんと津田沼のヨシキスポーツに行きました。ヘルメット2つとハーネスを買って、新しく軽いテントも買いました。
夜10時にデリカに乗って四街道を出発しました。と中でぼくはねむってしまいました。

8月12日

朝4時半におこされました。朝ごはんにプリンとウィダーインゼリーを食べました。うすぐらくて雨がザーザーふっていました。沢渡からバスに乗って上高地にむかいました。
上高地のビジターセンターで雨具を着て歩きはじめました。雲で穂高が見えませんでした。
徳沢につくころ雨がやみました。そしていつものようにソフトクリームを食べました。お父さんがねないで運転をしたのでねむいといいました。
横尾にいくと中サルが近くで遊んでいました。キーキーないていました。はんたいがわから、けんかをしているような声がきこえました。
少し早かったけど横尾でテントをはることにしました。横尾までの道はようち園のころから何度も来たことがあるのに長く感じました。
その夜は牛どんを食べました。ハトがいたので何をしているのかなと思って見ているとごはんつぶを食べていることがわかりました。お父さんがお米をテントのところにまきました。すると、ハトがよってきてお米を食べました。お父さんがもっと近くにお米をまくと用心しながらお米を食べました。ハトはもう手をのばせばさわれるところまで来ました。
去年まできたなかったトイレが今年はきれいに作りかえられていました。まだ明るいうちにねました。ぼくはひるねをしたので、なかなかねむれませんでした。山はずっと雲におおわれ何も見えませんでした。

8月13日

朝おきたらすごくいい天気でおどろきました。でも少し寒かったです。そしてテントをかわかし出発しました。
本谷橋まではけっこう楽にいけました。いつものようにそこで休けいしました。そこの川で遊んだりしました。ほかの子が川に落ちてしまいました。その子はその子のお父さんの所にいって着がえていました。
本谷橋を出て急な坂がつづきました。がんばって登っていると遠くに涸沢ヒュッテのふきながしが見えました。もっと登るとせっけいがありました。せっけいで雪だるまをつくったりして遊びました。
涸沢にはテントがたくさんはってありました。せっけいの近くの平らな所にテントをはりました。テントからせっけいまで3mくらいでした。
お父さんがごはんを作っている間、朋子お姉ちゃんと雪で遊びました。お父さんがウイスキーと牛にゅうを買ってきたので雪でひやしました。お父さんが買ってきた牛にゅうでいちごプリンを作りました。ひやしかたは、なべの中に雪を入れてその上にプリンをのせました。
夕ごはんにマーボー春雨を食べました。プリンを食べることにして、ちゃんとかたまっているかなと思って見たらかたまっていて、食べたらおいしくてとてもうれしかったです。ねる時になって、となりで歌をうたっていたので、ぼくたちも聖歌を歌ってねました。

8月14日

今日はいよいよクライミングの日です。朝3時におこされました。前のばんにじゅんびが終わっていたのですぐに出発することができました。
空には星がいっぱいありました。真っ暗の中、かいちゅう電とうをつけて4時15分にテントを出発しました。涸沢の山岳パトロールのおまわりさんの所にいってお父さんがあいさつをしました。小学生が北尾根に登るのでビックリしていました。
4時半にせっけいの上を歩きました。だんだん明るくなってきて穂高が赤くそまりはじめました。お花畑をどんどん登りました。
6時に五・六のコルにつきました。コルのむこうに富士山と八ヶ岳と南アルプスが見えました。下の方には小さな奥又白の池が見えました。五・六のコルでヘルメットとハーネスをつけました。お父さんとザイルをむすびました。去年登った大キレットのような所を登っていきました。
五峰の山ちょうで休けいをしました。空が真っ青で雲一つありません。槍ヶ岳が見えました。
そして四峰を登りはじめました。98年の地しんで岩がくずれていて、何度もお父さんにザイルをひっぱってもらいました。岩がぐらぐらしていて、つかんだ石がすぐ落ちてしまいました。
四峰の山ちょうはすごくせまくて、涸沢ががけになっていました。お父さんが何度も「気をつけろ!」と言いました。涸沢にはぼくたちのテントが小さく点のように見えました。
四峰から三・四のコルまではやさしい道でした。5分くらいでつきました。
三・四のコルでクライミングのじゅんびをしました。クライミングシューズにはきかえました。お父さんは長い45mのザイルをザックから出しました。そのザイルをぼくと朋子お姉ちゃんにむすんでくれました。
三・四のコルから少し登ってハーケンにカラビナをかけました。お父さんがぼくとお姉ちゃんを落ちないようにむすんでくれました。
ここからきゅうに岩がかたくなって、すい直になっていました。えい画「バーティカルリミット」のようでした。
笛がなったのでぼくが登る番になりました。でもザイルがこんがらがって登り始めることができませんでした。しばらくまっていると、お父さんがザイルをつたわってするすると真上からおりてきました。ザイルのこんがらがりを直してくれて、お父さんはまた上に登っていきました。すい直の岩場を登っていくとお父さんが見えました。お父さんのすわっているところまでいって、セルフビレーをとりました。次に朋子お姉ちゃんが登りました。二人でお父さんのとなりにすわりました。
次はお父さんが二人の上をまたいで登っていきました。笛の音がまたピーとなりました。ぼくは登り始めました。今度は少しやさしかったのでどんどん登れました。ついた所はザックをおろせるくらい広くてほっとしました。
ぼくが
「もうむずかしい所、終わったの?」ときくと
「もう一ヶ所むずかしいチムニーがあるよ」といいました。
むずかしいチムニーの所にやってきました。岩がすい直よりもっとななめになっていて、手をつかむ所がありませんでした。りょうがわの岩に手をつっぱって登りました。チムニーから顔を出すとお父さんが見えました。お姉ちゃんはすいすい登ってきました。やっぱりぼくより体が大きいからかなと思いました。
ここからまた岩がぐらぐらになってきました。次はまたすい直よりななめになっている所でした。手と足をかける所があったのでかんたんに登れました。
そこから少しいくと三峰の山ちょうでした。二峰のくだりはすい直でした。お父さんが上からザイルでぼくとお姉ちゃんをおろしてくれました。一・二のコルに立つことができました。ザイルをつけたまま10分くらい登ると前穂高岳の山ちょうにつきました。
登山道から登ってきたおじさんやおばさんがいっぱいいました。北尾根から登ってきたぼくたちを見てびっくりしていました。ちょうど12時でした。
おかしを食べスポーツドリンクを飲みました。近くにいたおじさんにシャッターをおしてもらいました。ヘルメットをしまいました。クライミングシューズをぬぎ登山ぐつをはきました。45mの長いザイルをはずし、かわりに5mのみじかいザイルをむすびました。ここから奥穂高岳へむかいます。
どんどん歩いていったら雨がふってきました。そしてクサリ場のところでカミナリとひょうがふってきました。クサリ場はたきのように水が流れていました。手がかじかんでクサリをにぎることができませんでした。ぼくはこわくて神様においのりをしました。
お父さんが
「もと君、ここががんばりどころだよ」といいました。
ぼくは
「うん、がんばる」といいました。
ガタガタふるえながらやっと奥穂高岳3,190mにつきました。ここから穂高岳山荘までの道は何度も歩いたことがあったけど、雨が強くて長く感じました。
小屋の中には、たくさんの人がいてずぶぬれになったぼくたちが中に入るとびっくりしていました。ホットミルクをお姉ちゃんと飲みました。いそいで涸沢までくだらないと夜になってしまうので3時半に出発しました。小屋の中の人たちはこんな時間に雨の中、出発するぼくたちを見てもっとびっくりしていました。
ザイテングラードをくだり始めると少し雨が弱くなってきました。下を見るとぼくたちのテントが小さく点のように見えました。あともう少しだと思うとほっとしました。
へとへとになって涸沢へついたのは6時でした。ソフトクリームはとてもおいしいので楽しみにしていました。でもうりきれていました。かわりにアイスクリームとラーメンを食べました。おなかがへっていたのでのこさず全部食べました。
テントにもどって、ぬれているふくをぬぎ、かわいたふくをきて、あたたかいシュラフにもぐりました。

8月15日

今日も雲一つない青空でした。ぬれている物を岩の上にひろげてかわくまでまちました。
その間ぼくたちは雪がっせんをしていました。きのう登った前穂高北尾根がよく見えました。かわいたに物をザックにつめて出発しました。山岳パトロールのおまわりさんの所へいって、帰りのあいさつをしました。歩いているとおじさんがおいかけてきました。そのおじさんは新聞記者でした。いろいろなことをインタビューされました。その新聞は「しなの毎日新聞」でした。長野県にしか売っていない新聞なのでがっかりしました。
9時45分に涸沢ヒュッテを出発しました。
横尾までくだると中、ぼくのくつひもがきれてしまいました。12時半になってやっと横尾につきました。そのころからくもってきました。徳沢につくころ少し雨がふってきました。
今日中に家に帰りたかったけど、お父さんのこしがいたくなって、徳沢でもういっぱくすることにしました。
ごはんを食べて、外で遊んでいたら、きゅうに雷がなってどしゃぶりの雨になりました。今日もまた山の上ではひょうがふっていると思いました。徳沢園でソフトクリームとポテトチップを買って食べました。

8月16日

今日はいよいよ家に帰る日です。テントをたたんで、大いそぎであるきました。ふつうは上高地まで2時間かかるのに1時間20分で歩くことができました。
上高地でおみやげを買い、バスで沢渡まで帰りました。
ちゅう車場のデリカの中は、とてもあつくなっていました。
今年新しくオープンしたばかりの「ほりでーゆー」という温泉にいきました。大きくてきれいでさっぱりしました。毎年いっているロイヤルホストに今年もいきました。ぼくはハンバーグとポタージュスープをたのみました。とてもおいしくて全部食べてしまいました。
ぼくの夏休みの登山が楽しく終わりました。


参加者:賀来素直(小学4年)、賀来朋子(中学1年)、賀来素明