ファミリー登山の実際

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3.コースと時間配分について

たどるコースは、すべて過去に私自身がトレースした経験のあるものに限定しています。それもかなり精通した山域で行います。たとえば、奥秩父廻目平や夏も冬も知り尽くした穂高周辺・八ヶ岳地獄谷などです。私は15歳で本格的な山登りを始め、槍穂高縦走をしたのが16歳の時でしたから、子供たちが15歳になったら、私が踏み入れたことない山域に足を踏み入れてもいいかなと思っていますし、またそれを楽しみにしています。

★0歳から6歳---コースタイムの四倍

子供がまだしっかりと歩けない時代には、コースタイムの4倍を目安としました。したがって、一日2時間コースが限度ということになります。何度も30分程度の岩場の取付きまで連れて行くうちに少しづつ歩行時間が延びていきます。2歳を超えるとしっかり歩けるようになるので、なるべく背負わないで歩かせました。しかしまともには歩いてくれません。道端の石ころをジーッとみつめてしゃがみこんでしまうのです。そこにダンゴムシやミミズでもいようものならしばらくは動きません。これは長女も次女も長男も同じでした。そんなときはあきらめて私も気長に一緒に見ています。
一番年下の長男が幼稚園の年少程度になるとぐっと行程ははかどります。歩きながら絶えず話し掛けたり歌ったりしながら登ります。子供たちが勝手に作った替え歌が山行中大ヒットして、そのメロディーが耳に残って帰宅してからも山と共に思い出されることもたびたびでした。よくデパートのおもちゃ売り場で床に寝転がって泣き叫ぶ子供がいますが、あれとは正反対の我が家の子供たちです。ですから涙をポロリとこぼしたときはもう本当の限界で、そんなことにならないよう気を配り、遊び感覚でとにかく楽しく登るようにしています。
よく子供連れの親子にすれ違うことがあります。子供は泣き叫び親は激励したりしかったりしているのを見ますとトホホな気分です。

★小学校低学年---コースタイムの二倍

長男が小学校 1年生2年生のころは、上高地・横尾間のように平坦な道であれば、ほとんど大人と同じコースタイムで歩くこともできますが、普通の登山道ではコースタイムの約二倍を目安にしていました。二倍の予定で計画しておけば、ちょっとした岩場でロープを出す時間的ゆとりも生まれますし、早めにテント場へ到着できるので、テントの中で子供たちが楽しみにしている家族5人のふざけっこもできるのです。結果としてコースタイム4時間以内がひとつの目安となります

★小学校高学年---私の体力の問題

ここ1〜2年は子供たちも体力がそこそこ備わり、連続14時間行動もできるようになってきました。そうなると問題は子供よりも私の体力になります。
子供に重い荷物を背負わせることはできません。せいぜい個人装備くらいのものです。女房も同じです。彼女ら彼らに荷物を背負わせてバテられると元も子もないからです。ですから、私がまずそれ相当のザック、夏の長期山行では約30kgを背負って何時間歩けるか?ということが問題となります。

★ペース配分

ペース配分は普通の登山と同じです。最初の一時間は極端にゆっくり登り始めます。1時間から30分に一度程度の規則的な休憩を心がていはいますが、あくまでも女房子供の調子しだいなので、あまり窮屈には考えていません。急坂の場合には時間よりも獲得高度を目安にします。獲得高度を10m単位で女房子供に教えるのです。
「さっきから10m登ったよ」「あと30mで休憩だよ」・・・
「あと30分」といわれるよりも「あと150m」といわれたほうが頑張れますし、疲れも少なく感じるのです。会社の仕事とおんなじですね。