2011年 夏 ヨーロッパアルプス

  

 

8月14日(日)雨 成田・フランクフルト・ジュネーブ・シャモニ

長男の運転で成田空港へ。長男と次女は先月免許を取得したばかりなので、長男の運転を心配する82歳の母と次女が同乗して成田空港へ。
11時25分発NH209便フランクフルト行きは定刻どおり離陸。機内では映画「小川の辺」を観る。飛行12時間を経て現地時間16時30分にフランクフルト到着。曇天で滑走路の路面は濡れている。天気は芳しくないようである。悪天のサイクルに入っているのではないかと心配になる。
二時間の待ち合わせで18時30分発ジュネーブ行きのルフトハンザへ乗り継ぐ。搭乗ゲートが変更されていたりなどなかなか気が抜けない。ジュネーブ到着は19時30分。預けておいた大型ザックだけがベルトコンベアから出てこず、泡を食ったが何とか発見され事なきを得る。今回持ち込んだ荷物はカリマーとオスプレーの大型キャリーバック各一個と75リットル、80リットルの大型ザック各一個、これ以外に機内持ち込み手荷物として40リットルクラスの中型ザックを妻と私で各一個。合計6個。これだけの大荷物となると二台のカートに乗せてもバランスを崩してたびたびザックが床に落ちるほどで、空港内の移動も容易ではない。
ジュネーブ空港内のハーツの窓口でレンタカーを借りる。事前予約の車種はフィアットのパンダだったが、実際にあてがわれたのはトヨタのヴィッツのマニュアルシフト車。スイスにまで来て日本車には乗りたくなかったが仕方がない。ジュネーブ空港のハーツレンタカーの駐車場では10年前に母と来た時にもバックギアにシフトできなくて泡を食ったが、今回もシフトレバーをニュートラルにしてもクラッチを切らないとエンジンが始動しないことに気がつくのに手間取った。このヴィッツは現地ではヤリスという車種名だ。ジュネーブ市内から高速道路経由でシャモニへ向かう途中で夕闇となり激しく雨が降り始めた。やがてワイパーで拭いきれないほどの土砂降りとなった。冷たい雨はアルプスの山々に雪を降らせていることだろう。
涙ぐんでしまうほど懐かしいシャモニへ到着したのは22時だった。事前に予約してあったホテルアルピナのフロントへ入ると、受付の女性から先に「ミスター、カク」と言われる。今日最終のチェックイン客となって気をもんでいたようだ。ホテルアルピナには駐車場がないので駅近くのパーキングへとめた。
古風な石造りの建物が大半のシャモニの中でホテルアルピナとENSA(国立スキー登山学校)だけが異質の存在だ。ホテルアルピナは1階部分がスーパーマーケットになっており高級ホテルではない。だけれども424号室の室内は広々としてとても贅沢なゆとりがある。
時差の対処は徹底して現地の時間にあわせるのが最良だと心得ているのでシャワーを浴びてすぐに眠りについた。

8月15日(月)雨のち晴れ シャモニ・プラ・ボゾン「マーモットキャンプ場」

4時間半ほど眠って4時に目が覚めた。小雨が降っていたが、妻にシャモニを案内してまわる。聖ミッシェル教会、高山事務所、スネルスポーツ、ロープウエイ駅、シャモニ駅、ホテルグスタヴィア、ホテルポアントイザベル、ホテルクロ・ブランシュ、フランス山岳会事務所。再びシャモニへ戻ってくることができたことを感謝しながら歩いた。
6時半にホテルに戻って7時過ぎに最上階のレストランへ行く。ホテルアルピナのセールスポイントは最上階にあるこのレストランからの展望だろう。また朝食はバイキング形式で美味しい。あいにくの雨模様でモンブランなどの展望はきかないがシャモニの町並みは見渡せる。チェックアウトしてからスネルスポーツで装備の調達。日本人クライマーが必ずお世話になる神田さんは定年になったのか姿は見えずがっかりだ。今回はアイゼン・ピッケル・アイススクリューなど装備のほとんどを日本から持ちこんでいるので、買うのはガスカートリッジとクライミングロープだけだ。ロープはべアールのアイスライン50mを購入。ガスカートリッジはOPTIMUS製。
スネルスポーツで用事をすませてからシャモニ周辺へと妻を車で案内する。最初にプラへ行ってみる。鋭いドリュの岩峰を背景に建つプラのカトリック聖堂は絵葉書のモチーフになることが多い。今日は聖母被昇天の祝日でもあり聖堂の扉は開け放たれロウソクが灯っている。街中ではガイド祭が行われおり、ガイヤンの岩場へ通じる車道は車両通行止めである。
今日からはキャンプの計画だが、20年前に利用したロジェールキャンプ場は閉鎖になったようなので、別のキャンプ場を探す。車なのでボゾン村あたりまで足をのばし「マーモット」というキャンプ場に決めた。午後から天候も回復し始めた。ヨーロッパのキャンプ場は良質のサニタリーやキオスクが準備され、サイトは芝生なので、とても快適だ。周りのキャンパーはその多くが長期滞在のようである。夏のハイシーズンだが一人当たりの利用料は5.9ユーロと安い。
夜、美しい月明かりに気がついた。ミディ針峰山頂にロープウエイ駅舎の灯りが見え、月明かりに照らされたボゾン氷河が美しい。一人、テントから外に出て写真を撮りながらしばらく見とれてしまった。