2009年 冬

房総の沢歩き

待崎川(滝根入川中俣)

2009/12/12

滝根入川中俣出合の滝

「房総丘陵」という本がある。3600円と値が張る。出版は千葉日報社。
千葉日報は千葉県民にとってはなじみ深い地元紙で、著者は鈴木伸一氏。この鈴木さんはホームページを持っていて、ここには詳細な房総ハイキングコースが満載されている。その内容が本になっているのである。めったな本屋では売っておらず、アマゾンでも取り扱っていない。鈴木さんの踏査範囲と詳細さは圧倒されるもので、敬意を表してわざわざ仕事帰りにお茶の水の茗渓堂まで行って買った。むさぼるようにしてページをめくっていくと待崎川源流部周辺のハイキングコースが紹介されている。
その一つが下降路に使えそうだと目を付けた。
今週は中俣の探索し、目を付けた下降路を確認しようと妻と二人で待崎川を歩いた。
さて、下降路の右俣と中俣の中間尾根。この尾根が良かった。道は林道のように幅が広く明確。下まで30分で下降できた。
なお、待崎川の上流部の支流の中でこの中俣が最も美しいようだ。

12月12日(土)晴れ

いつもの通り3時半に目が覚めた。雨音がする。
妻と二人で房総へ行く予定であったが、雨では中止するしかないと妻に伝えて私は起きてリビングでお茶を飲む。
しばらくパソコンなどをいじりながら天気予報を見ているとこれから天候は急速に回復するという。
まだベッドで寝入っている妻にそうっと話しかける。目覚めた妻はこれからの出発を承諾してくれた。子供たちの朝食の準備を終えて出発する。
10時に君津ICに到着。雨上がりでぬかるみが予想されるのでアプローチは長靴のほうがよかろうということで君津のホームセンター「ジョイフルホンダ」でスパイク長靴を購入。一足1980円だった。いかにも衝動買いをしたように受け取られかねないが、そうではない。池学さんがスパイク長靴で冬の北鎌尾根を一人で登り遭難したのは有名な話である。すなわちスパイク長靴の有効性を確認したいとかなり前から思っていたのである。今回は雨上がりのぬかるんだ泥の斜面を想定しているが機会があれば積雪期に試してみたい。
10時半過ぎに保台ダム到着。11時に歩き始めた。
スパイク長靴で沢を遡行していったが、水量が多いので長靴の中に水が入らないように、迂回しながら歩くので時間がかかる。しばらく粘って長靴のままで歩いたが途中で沢靴へ履き替えた。125mの分岐に到着。
この二俣で右から流入しているのが中俣である。出合には深い釜をもった滝が連続し、一見したところどうやって通過したものかと思う。ところが近くへ寄ってみるとステップが刻んである。ステップは浅いのでそれなりの注意深さを要求されるが容易である。顔の位置には錆びついた釘が打ち込まれていて、これをバランスの補助として使うことができる。
これを超えると滝根入川各支流と同じようなナメが続く。
ところどころで流木にさえぎられたりはしたが、上流部は樋状で美しい。
源流部に到着したところで昼食。水流も細くなってきたので再びスパイク長靴へ履き替える。
最後の詰めは急斜面なので本流が右へとカーブする手前で右手の尾根に取りつく。
スパイク長靴の威力はなかなかのもので、泥の斜面にがっちりと食い込み、安定した登りを与えてくれた。
15分ほどで下降予定であった尾根の一角に登り着いた。そこは林道のように道幅が広い。関東ふれあいの道からの下降点を確認するために、一旦は稜線へ出てみる。5分ほどで関東ふれあいの道に出た。下降路の尾根は下り口付近の地形が非常にわかりづらい。先週も一度はこの尾根を下降しようと下り口を探したのだが発見できなかったのである。
妻と二人で下り始めた。林道のように広い道なので歩きやすく30分ほどで沢へ降り立つことができた。降り立った地点から98m二俣まで15分。さらに花木園の登り口まで3分。
安全で最短の下降路に思わず笑みがこぼれる。お花見広場でいつもの通り沢靴を洗い、コーヒー、お茶を淹れてゆっくりしてから家路についた。


保台ダム 10:52
花木園 11:10
入渓点 11:35
125m二俣 12:47
最源流部(昼食) 13:30--14:00
支尾根の稜線 14:20--14:35
関東ふれあいの道 14:40
中俣103m付近 15:11
お花見広場 15:40--15:58
保台ダム 16:12


冬木立ちになった



125m二俣の滝根入川中俣出合
注意深く見ると右岸にステップが刻まれている



出合の連瀑帯をヘツる



雨上がりで水量が多い










コケの緑が鮮やかであった



ナメの連続



下降に使用した尾根



標高103m付近の中俣へ降り立った