2009年 晩秋

房総の沢歩き

待崎川

(125m二俣中退)

2009/11/23

落ち葉のナメを行く

「童人トマの風」という山岳会がある。活動記録集として年報を発行している。
その年報の名は「とまのかぜ」
この「とまのかぜ」を読んでいると、この会で活動している人たちの楽しさが伝わってくる。
その年報No.14に房総の沢が掲載されている。安房鴨川の待崎川である。
近年作られた保台ダムで水没したと思っていた待崎川。どうやら勘違いだったらしい。シーズンになったら訪れてみたいと温めていたのである。
待崎川周辺の山域は房総の山々の中でも山ヒルの密集地帯である。山蛭が下火になるのは11月下旬から3月半ばまでといったところだろうか。
そう、房総では冬こそが沢登りシーズンなのである。
さて、実際の遡行であるが、ヘッドランプを忘れたことに気が付き、途中で引き返した。
穏やかなナメに澄んだ水が流れる、静かな沢だった。晩秋の一日を妻と二人で楽しんだ。

11月23日(月)快晴

いつもの通り、妻の子供たちの朝食の準備が終わるのを待って出発。
快晴である。
保台ダムは鴨川市民の憩いの場として公園のように整備されている。
釣り人の車が数台並んでいる。湖畔ではルアーをしている人がいる。保台ダムはほんの10年ほど前に完成したばかりのダムなのに、もうどこかの不届き者がブラックバスを密放流したのであろう。公園のように整備された鴨川市和泉地区生活環境保全林の中の車道は、左右に梅林、紅葉園、花木園と名付けられた公園を縫うようにして上流へと進んでいく。
花木園を右に見て少し行くと車道は沢をわたるところで終点となる。ここで渓流シューズに履き替えて沢へ入った。
この沢の写真を沢登り愛好者に見せ
「これは南会津ですよ」
と言ったら信じてしまうかも・・・というような渓相である。
いったいどんな沢なんだろうと興味津々で遡っていく。砂利はほとんどなく大半がナメ。水も澄んでおり、美しい。
標高125mの二俣で昼食。ザックの中身をひっくり返してみるとヘッドランプがない。
この時点で、ここから引き返すことを決める。
滝がないから下降も問題ない。帰り道は国土地理院の地形図で破線となっている道をたどって花木園へ戻った。蜘蛛が滝橋のたもとにある「お花見広場」でのんびりお茶を飲む。ここにはテーブルとベンチと水洗トイレと水道がある。
小春日和の午後。とっても幸せな休日。
帰りがけに、せっかく鴨川へ来たのだからと30年ほど前にフリー化した弁天島を再訪してみた。頑丈な防波堤が作られて景観は変わっていたが、弁天島のハングは当時のままだった。
あの頃は、こんなハングでも皆で真剣になって登ったのだ。
大木さん、砂田、岩崎、中村、早野、三喜雄ちゃんと過ごした楽しい日々をとても懐かしく思い出した。


保台ダム 10:18
お花見広場 10:33
花木園 10:46--11:00
入渓点 11:05
125m二俣 12:08--12:35
花木園 13:30
お花見広場 13:55--14:42
保台ダム 15:10


ナメだが微妙に凹凸があり、慎重に進む



所々で廊下になる



ナメ滝もある



20年近く前のアイガー北壁単独行時に使用したクッカーで
湯を沸かす



ナメに落ち葉が南会津の渓を連想させる



しばらくぶりの遡行だったので足の裏が痛くなった



午後の日差しが美しい

蜘蛛が滝橋のたもとにある「お花見広場」
ゆったりできる素晴らしいところ