2008年 秋

房総

花嫁街道から烏場山

2008/11/29

マテバシイの純林

花嫁街道とはなんという素敵な名前だろう。
当初、奥多摩の鳩ノ巣渓谷周辺の山にでも行こうかと考えていたが、結局房総の花嫁街道ハイキングコースを訪れた。
思いのほかよいコースで、ちょっと得したような気分になった。南側にひろがる太平洋を見ながら小春日和の半日をのんびり過ごすには最適であろう。

11月29日(土)曇りのち雨

少し朝寝をしてゆっくり起きた。妻はいつもの通り弁当を作り、子供たちを送り出す。
8時半に家を出る。市原で吉野家に立ち寄って朝食。私はハムエッグ牛小鉢定食450円、妻はハムエッグ納豆定食400円。あとお新香90円。ここでどこへ行くかを検討する。
家を出た時には廃道化した鎌倉街道を探検するつもりでいたが、気が変わった。出発時間が遅すぎる。そこで鴨川和田浦の花嫁街道に変更。コースが整備されているので日が暮れても安心して歩けると思ったからである。
市原から高速道路に入る。快晴の朝を迎えて出発したのだが、これから向かう南の丘陵地帯には雲がかかりつつある。インディアンサマーを期待していたのだが、どうやらかないそうもない。
11時半に花園海岸浜千鳥歌碑近くの町営無料駐車場に到着。波乗り目的の車が数台止まっている。
私たちも支度を整え、歩きはじめる。上空はいつの間にか曇り空になっていた。
山の方面へとなだらかな道をゆっくりと登っていくとJR外房線の踏切を渡る。左へ直角に曲がり線路沿いに歩いて行くと除虫供養碑のあるT字路にぶつかる。この近辺はソテツがあちらこちらに植えてある。園芸用に出荷しているのかも知れない。復活祭のときには都合がよかろうなどと思いながらソテツを見る。
除虫供養碑のT字路を右に曲がり山茶花の咲くのどかな道を進み橋を渡って、突き当りの新しい「道祖神」を左折すると花嫁街道の登山口に到着した。公衆便所があって5・6台の駐車スペースがある。
杉の植林地帯をジグザグにゆるく登っていく。しだいにスダシイやマテバシイの照葉樹林の森となる。たくさんのドングリが落ちている。小さい頃には椎の実を食べた。ドングリの中でも椎の実だけはあくがなく生でもたべられるからだ。道は平たんになり歩きやすい。第一展望台、第二展望台と過ぎ、マテバシイの純林を見る。これはみごとである。
稜線につけられた道はほぼ平坦でとても歩きやすい。
やがて経文石、自我井水、駒返しを経て萱場見晴らし台に到着した。芝を刈ったようななだらかな斜面が太平洋側に広がっている。ここまで照葉樹林の薄暗い森の中を歩いてきたこともあって、この突如の解放感は感動的なものだ。丸太のベンチがいくつもあるので、昼食にしようと腰かけると雨が降り始めた。木陰でしばし雨宿りしたが、かなり本格的な降雨である。15分ほど止んだので大急ぎで湯を沸かして弁当を食べる。食べている最中にも雨脚は激しくなっていく。
荷物を大急ぎでまとめて歩きはじめる。かなり強い雨で、時折雷鳴が鳴り響く。髪の毛からしずくがぽたぽたと滴り落ちる。
烏場山(265m)の山頂に到着した。まるで公園の中の芝山のように整備されている。山頂には花嫁の小さな石像がある。素晴らしいところだがなにせ雨が降っているのでとても立ち止まる気になれない。
そそくさと先を急ぐ。
旧烏場展望台(236m)というところも良いところだったが、なにせこの雨である。見張台(171m)も、金毘羅山(121m)も・・・。
黒滝への階段を降りると、中高年の男性8人パーティーがいた。
黒滝は立派な滝だ。両側は高く岩壁が立ち上がり、深いゴルジュになっている。こんなところが房総にもあったんだと思う。房総半島では安易に谷へ下るととんでもないことになるというのがよく理解できる典型例だろう。沢沿いに下るとすぐに「はなその広場」に到着。ようやく雨も上がった。
ここまで舗装道路が来ており、児童公園のような遊具や野外炊飯用の炊事場なのが整備されている。山茶花が咲いていた。
この舗装路をそのまま進むと行きに通った「道祖神」に至るようだが、私たちは浜千鳥歌碑方面へと左折して橋を渡った。道は田んぼの脇を通りながら次第に細くなり峠を越えるようにして登っていく。やがて高圧電線の鉄塔を過ぎると舗装道路の終点に到着。ここで傾いた夕日が私たちを照らした。雨でしっとりと濡れた舗装道路を妻と歩く。
空には積乱雲が夕陽を浴びて赤く染まっている。
今度は晴れた日に再訪したい。

先週の三連休は一日休みをとって四連休として、母を含めて5人で大分中津へ帰省し、23日と24日は長崎まで足を延ばした。車で帰ったから四街道から中津まで片道1,160km。さらに長崎の浦上まで209km。往復総計2,931kmを走った。もっとも素直は部活動で山へ行っていた。中津を朝3時に出発して5時には帰着できたせいか、覚悟していたほどは、疲れも感じず、まだまだ行けると少し安堵した。



道は整備されており歩きやすい



経文石







カヤ場見晴らし台



いつもの弁当も雨の中
妻が“豚ロース生姜焼き”を加えてくれた



雨の第三展望台から北側を見る



烏場山の山頂も雨の中



黒滝



ようやく最後になって日がさした


夕日に染まる積雲

浜千鳥歌碑駐車場 11:45
花嫁街道入口 12:10--12:15
第一展望台 12:35
第二展望台 12:50
マテバシイ純林 13:00
経文石 13:05
自我井水 13:15
駒返し 13:30
カヤ場見晴らし台 13:42--14:18
第三展望台 13:23
烏場山 14:30
黒滝 15:30
はなぞの広場 15:36
舗装路終点 15:57
浜千鳥歌碑駐車場 16:30