2008年 冬

足尾

松木沢 横向沢

2008/02/11

傾斜のゆるい下段

長男の素直からアイスクライミングをしてみたいとの意向をうけたのはずいぶん以前のこと。お気に入りのDVDの映画のワンシーンの中にアイスクライミングの場面があって繰り返し見ているらしい。
「アイス?いつでもいいよ」
と答えていたが、暖冬続きの昨今では氷のベストシーズンはとても短い。
建国記念日の三連休の初日である土曜日、素直は山岳部の仲間達と船橋ロッキーへ行ってしまい、仕方なく私は印西のロッキーへ。日曜日は所用があって私がNG。そして三連休最後の日にようやく素直と二人で出発。
目指すは足尾山塊松木川の横向沢。河原からいきなり取り付くことが出来るし、傾斜の強い部分とゆるい部分が程よく配置され初めてのアイスにはぴったりだ。
極道の仲間内では西村さんが石器アックスで大同心大滝や雲竜瀑をリードしたとのことで盛り上がっている。この三連休も先週に引き続いて雲竜瀑へ入るとメールしてきていた。

2月11日(月)快晴

朝4時に四街道を出発。7時半に足尾に到着。氷点下10度。路面は凍結。アプローチの近い新たな氷瀑を探して銀山平方面などを探索したが積雪に覆われ良い結果を得られずあきらめて銅親水公園の駐車場に車を止める。すでに8時半。おまじないは通用せず。仕度を整え9時に歩き始める。
氷点下10度だが陽は高く昇って日差しは暖かく、厳冬期とは思えない。小さく汗をかきながら林道を歩いていく。長い林道だが、今日はなんだか歩くのが楽しく苦痛は感じない。1時間半ほどで黒沢の対岸に到着。黒沢自体にはクライマーの姿は見えないが、すでに登り終えて帰路に着こうとしているらしき三人が林道へ這い登ろうとしていた。
私たちは横向沢へ向う。
渡渉して対岸へ渡る。くるぶしほどの水位なので冬靴なら濡れを心配する必要はない。
今年は20年ぶりの寒い冬と天気予報で聞いたが、氷の発達は寒気だけで決まるものではなく、氷の原料となる水の供給量にも左右される。昨年3月に長女敦子と訪れた時に比べると今回の横向沢の氷瀑は痩せており完全には結氷していないが、アイスクライミングには充分な状態だ。
トップロープをセットするために、まず私が登る。今シーズン初めてのアイスクライミング。傾斜のゆるいところを選んでアイススクリューを2本埋めて慎重に登る。落ち口の奥にある2本のリングボルトのビレーステーションと立ち木を連結してトップロープの支点にする。このリングボルトは、鉱毒の名残の酸性土壌によって腐食が進行しておりステンレスアンカーにリボルトされることが望まれる。
懸垂下降して、まずは素直の初トライ。彼にとって生まれて初めてのアイスクライミングである。傾斜のゆるい下段から右のバーティカルラインをノーテンションで一撃。
「手は疲れたけど難しくはない」とのこと。
素直曰く、DVDのアイスクライミングシーンを幾度も見ていたので、登り方が分かっていたのだという。
「へぇー」と感心する。
ポットの湯を注いでロイヤルミルクティーを飲む。そして握り飯を食う。
食後、アイススクリューの埋め方を教える。素直はアイススクリューが気に入ったようで何度もねじ込んで遊んでいる。パイプから氷がにゅるにゅると出てくるのが面白いらしい。
再び、交互に登る。
13時、登攀を終了して荷をまとめる。13時半帰路に着く。
素直とおしゃべりをしながら林道を歩く。思いのほか登れたせいか素直は上機嫌でまた来たいという。残念ながら来週は休日出勤で博多出張、再来週もふさがっている。なんとかもう二回はアイスクライミングをしたいねなどと話しながら歩く。
14時40分、車に帰着。
19時四街道着
明日は名古屋から仙台へと出張が待っている。やれやれ・・・


銅親水公園ゲート出発 8:55
  黒沢対岸 10:35
  横向沢 10:43--13:25
銅親水公園ゲート帰着 14:43


主な装備 ロープ:9mm50m1本 アックス:BlackDiamondバイパー改2本、Simondピラニア改2本 アイゼン:GrivelG14、Simondマカルーリジット アイススクリュー:BlackDiamondターボエクスプレス他各種6本


日差しをうけて林道を歩く



寒かった正月山行とはちがって楽ですね







ノーテンションで一撃する素直







帰路に着く



厳しい表情の足尾山塊



山を去る道には詩情がある