2006年春

日光

白根山

2006/3/25--26

下山の日、前方に広がる中禅寺湖の湖面をめざして下っていく敦子を望遠で撮る



昨年9月にブログを開始し、そちらに日記風に書き込んでいるので「賀来家のファミリー登山」にレポートをアップするのは久しぶりだ。

さて、今年に入ってから毎週のようにハイキングを重ね、調子も上向いてきたので敦子と2月に八ヶ岳の赤岳主稜へ行った。
しかしながら私が右薬指に凍傷を負ってしまい、美濃戸の車に帰り着いたのは深夜の2:30でちょっぴりハード山行となってしまった。
きっともう雪の山はこりごりだろうなぁとあんじていたら、敦子はまた行きたいという。
これには嬉しいというよりも驚いた。
それではということで、今度は癒し系のゆったりした山行を計画することにして日光白根山をチョイス。
五色沼避難小屋まで贅沢な食材を運び上げ、通常の山行では叶わない料理をおいしく食べて、ゆっくり泊まって、帰りがけに温泉に入りのんびりしようということになった。
敦子はそれを楽しみにして、数日前から持っていく食材を少しずつ買い集めている。私もアルコール類をたくさん仕入れウキウキしながら当日を待った。

3月25日 快晴

早朝の出発予定であったが寝坊。
快晴である。
いつものクライマーのケモノミチを走るが、出発が遅れたためにところどころで渋滞にまきこまれ奥日光湯元の駐車場に到着したのは11:00近かった。
このシーズンの湯元は快晴の下では雑誌のグラビアを飾るカナダの山々のようにも見え、私は大好きだ。敦子も同感だという。
一方、湯元スキー場の第四リフトは今シーズン運休とのことで少し余計に登らねばならない。
12:00つらいところだが仕方がないとあきらめてゆっくりと登りはじめた。
第四リフトの終点で一休みするが、ちょっと食料などを持って来過ぎたようでザックが重い。とはいえ、今日は五色沼避難小屋までなので時間的なゆとりがあり、のんびり登っていく。
外山のコルまでの登りは何度登ってもつらい。荷が重ければなおさらだ。しかしながら風もなく天気も良いので気分的には爽快だ。
敦子とおしゃべりをしながら雪の斜面を歩いていく。
夕方17:00近くになって五色沼避難小屋へ到着した。先客が5名ほどいるがみんな中高年・・・というよりもどちらかといえば60歳以上に見える高年者の人たちだった。
私達親子は二階を使わせてもらう。
銀マットを敷き荷物を整理していよいよ食事。チーズで包んだ餅を更に海苔で巻いた磯辺である。スープもたくさん持ってきているし、チーズも一種類だけではない。カマンベール、チェダー、ブルーなど多品種に及ぶ。鮭の燻製やフルーツ缶詰まで持ってきているのだ。私は調理をしながらウィスキーをちびりちびりと飲む。幸せなひとときだ。

3月26日 晴れ時々曇り

いつもの通り未明に目が覚め、外を見るとガスで何も見えない。暖かい寝袋に戻ってうとうとしていると同宿の高年者の皆さんが起きだして食事の支度を始めた。
私たちも明るくなってから起き上がり食事をとってお茶などを飲み、のんびり。他の人たちは白根山頂往復へと出発していった。
6:20、私たちも出発する。
小屋の外に出てみると少し薄い雲がベールのようにかかっているが、晴天である。
小屋から5分ほど南西へ平坦な雪原を歩き、そこから山頂までほぼ一直線に登っていく。
登り始めてしばらくで岳樺の林が途切れて森林限界を迎える。このあたりから斜面は傾斜を増し始める。
忍耐の登高を続けると山頂火口の一角に達する。ここからはホワイトアウトだと現在地を把握しにくいやや複雑な地形をしているが、今日は視界が利くのでまったく問題ない。
急に冷たいが風が吹き付けるようになった。凍傷の傷跡に身をよじるような疼痛を感じる。立ち止まってマッサージをする。
7:50山頂はいつもの通り、吹きさらしでごつごつした岩が露出している。
展望は良く利き、近くに尾瀬の燧ケ岳や至仏山などが見える。
しばらく休んで、お菓子などを食べ、下山にかかる。
火口壁の端から急斜面を下っていくのだが、思いのほかの急斜面で恐ろしいほどだ。アイゼンの足運びに神経を集中し慎重に下降していく。
8:50五色沼避難小屋に帰り着いて、横になって少し休む。
もう誰もいない。こんな山小屋で一週間ほど過ごしたらどんなに素敵だろうなぁなどと空想しながら視点の定まらない眼で凍りついた窓を見る。
10:00さて、本格的な下山だ。担ぎ上げた4リットルの水もほとんどなくなったので、ザックがずいぶん軽く感じる。
下山は足取りも軽く、敦子とおしゃべりをしながら歩いて10:50たいした労もなく前白根に到着。ザックが軽いとこうまでも楽に感じるものなのか・・・などと敦子と話す。
ここからおだやかな雪稜をくだり、外山のコルからちょっとうんざりするような急斜面を忍耐で下って、12:30、スキー場のレストハウスに到着。やれやれということでレストハウスのレストランで食事。この頃には曇っていた空にも太陽が顔を覗かせるようになった。
下山後は「やしおの湯」で汗を流し、締めくくりは正嗣の餃子で今回の山行を終了した。