栃木県 足尾 松木川
今回のアイスクライミングも全てを尾崎さんがお膳立ててくれたもの。何も考える必要はない。他のメンバーはオンブにダッコでついていくだけ。
林道をおしゃべりしながら歩いていると尾崎さんは
「今年の12月は黄蓮谷右俣へ行こう」と上田さんと私を誘う。
黒戸尾根を冬靴で登ることを想像するだけでしり込みしてしまう上田さんと私。
尾崎さんはすでに右俣も左俣もトレースしているのだが、西村さんが左俣のフリーソロはしているが右俣はまだ登っていないので登らせてあげたいのだという。だから一緒に行こうというのだ。本当に頭が下がる。
みんなとおしゃべりをしながら歩いていく林道は楽しく、下着一枚になって春の陽を感じながら歩く。
林道の雪も融けて温かな土から水蒸気が立ちのぼり、ところどころに登る残雪の表面もうっすらと茶色になっている。
高野・小堀・西村・尾崎が一泊二日、伊能・上田・土橋・賀来が日帰り。
一泊組の本命は明日の「無名沢」のようで、今日は足慣らしということで黒沢に行くことになる。「宇都宮勤労者山の会」も黒沢に入っているはずなので再会できると嬉しくなってくる。黒沢に行くと「宇都宮勤労者山の会」の安藤さんや松本さんたちが登攀を終えて下降してきたところだった。森さんが撮影してくれた私の写真を安藤さんから手渡される。
私達は「尾崎・西村」「高野・小堀・上田」「伊能・土橋・賀来」の三パーティーに分かれて遊ぶ。
伊能さんとはかつて一緒に銚子犬吠埼の岩場を開拓した仲間で10年ぶりくらいの再会。奥様には赤ん坊のころの我が家の子供達を岩場の下であやしていただいた。
一方、土橋師匠は1960年代に衝立のダイレクトカンテやコップ状岩壁のソロクライミングを行っている雲の上のような存在だが、ダブルアックスは初めてのはずだ。師匠はところどころアックス一本でスイスイ登る。さすがというべきだろう。
気温が高く氷の表面が水を含んでやわらかくなっており、アックスのピックが氷を割らずに食い込んでくれるので登りやすかった。
二月も中旬なると足尾でのアイスクライミングもシーズンオフだという。五週連続となる足尾通いもそろそろ終りなのかもしれない。
15時過ぎ、ベルグラで遊び続けている宿泊組みに別れを告げ帰路についた。
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いつもの通りの西村と尾崎 |
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小堀と上田 |
![]() 写真提供:土橋敬司 |
F3を登る高野 小堀・高野の両名で交互にリードしたようだ |
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爪の磨耗したチタネスクでF3を登る土橋師匠 |
![]() 写真提供:土橋敬司 |
20年近く前のアイゼンで登る伊能 |
![]() 写真提供:土橋敬司 |
一応全てを登り終わってからトップロープをかけて、ベルグラ状の壁を何度も反復して登る尾崎 |
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一泊組の高野・小堀・西村・尾崎のキャンプ地 最終ゲート先のジャンダルムが対岸に見える草地。 水場も近く最高のロケーションである。 |
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帰りがけに、上田推奨の今市の「正嗣(まさし)」へ立ち寄る。 ぎょうざ専門店の名に恥じぬメニュー。 餃子のみ。ビールもないしご飯もない。 タハハ・・・まいったなぁこりゃ。 |
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三人前でなんと510円という安さ。 ラーメン屋のギョーザは中がスカスカだったりする。その感覚で三人前を頼んでしまった。 ここの餃子は中に具がしっかりと入っているので見た目以上にボリュームがある。 量が多くて食べ尽くすのは辛かった。 二人前が適量だったらしい。 ゲップ! |
![]() 写真提供:尾崎徹 |
★一泊組のその後★ 見よ、前途有望な若人二人が人っ子一人いなくなった氷瀑で遊んでいる。 「道を踏み外さねば良いのだが・・・」とは上田のつぶやき 「もう手遅れじゃぁないのかなぁ」とは賀来のため息 「尾崎さんは彼らを息子と思ってるんですよ」とは土橋師匠のお言葉 |
![]() 写真提供:尾崎徹 |
★一泊組のその後★ 流木で焚き火をしたとのこと |
![]() 写真提供:尾崎徹 |
★一泊組のその後★ 記録を見ることも稀な「無名沢」 夏小屋沢のF3を上回る二本の滝があり良好だったという。 降りしきる雪がいい。 |