2004年冬

栃木県 足尾 松木川

導水管の氷柱

2004/2/1

箭内さん、森さん、安藤さん、賀来素明

2時間のアプローチを経てたどりついた40mの氷瀑でも正真正銘の垂直部分というのは実際には3m位しかなく、たいていは微妙に寝いていたりします。本当のバーチカルで遊びたいなぁと思っていた私は足尾の銅親水公園の車止めゲートから見える導水管の氷柱が気になってしかたがありませんでした。
三週連続になるのですが、仲間内に連絡をとると宇都宮の安藤医師が一緒に行ってくれるとのこと。
さて、行ってみると立春を感じさせるような一日。見事な氷柱というかツララのオンパレード。こりゃいい、ライン取りによっては薄カブリの課題もOK。
ただし、高さが5mから6mほどしかないのでリードするとグランドフォールの危険性が高いというのも事実です。トップロープでムーブの探求に焦点を絞るということに割り切った方がいいかもしれません。
カラコルムのスパンティークで指を失った森さんと、ファイトのかたまりでチャーミングな箭内さんを加え4人で春うららのような休日を楽しみました。
※ちなみに「仁田元沢出合導水管アイスフォール群」と呼んではどうかしらと安藤さんが言ってました。アイスフォール群の方がカッコイイですね。

★私が感じたこと
1.モノポイントは登りやすい。試してみる前は、爪が一本なので左右にぐらつくのではないかと思ったが安定している。
何故だろう?・・・・
二本爪は氷に前歯二本が同時に刺さることを前提として足を置く。つまり氷の面に対して常に足は直角になるように蹴り込む。一本爪は必ずしも直角である必要はなく、最も安定する角度で足を置けばよい。
その上、二本爪よりも一本爪の方が深く氷に食い込むようだ。それはそうだろう、足の力が二点に分散する二本爪よりも一点に集中する一本爪の方が氷に深く食い込む道理だ。一方、二本爪は直角に足を置いているので不自然な体勢になっていたりするので、次のムーブへ移るときに足の角度がズレ、一本爪と同じ状態になりやすく、深く氷に爪が食い込んでいないだけに一層不安定になる。
・・・と推測しました。

2.箭内さんにシャルレのクォークを貸してもらいました。西村さんのハンドメイドアックスは別にしても、最近のアックスはどれも素晴らしいのかもしれませんが、クォークを使うとバーチカルでも全く不安を感じません。アックスが決まると、クライミングジムでガバホールドにぶら下がったのと同じ状態になるので、あたかもクライミングジムでフットホールドに丁寧に足を乗せるのと同じようにモノポイントを狙った場所に乗せることができます。しかもモノポイントなので足を最適な角度で置くことが出来ます。がっちりと安定したフットワークは結局腕への負荷を軽くします。なお、クォークはピックのチューニングをしなくても不満を感じませんでした。箭内さんありがとうございました。

3.フリークライミングのムーブだと氷柱はバルジ状態なので一方の足を決めて、もう一方の足で氷柱を抱きかかえるようにしてヒールフックしてレストの体勢となります。コンペ用クランポンのヒールに爪を付けられるオプションが用意されていますが、普通の氷柱クライミングでもヒールフック用の爪があると良いのになぁと感じました。

2月1日 快晴

アプローチ15分
この氷柱が最も傾斜が緩い。

いい感じの氷柱でしょ?
コレもいいですね。少し寝てるかな?
ツララの集合体のような氷柱
ペンシル状のまさに氷柱というかツララ。
陽が当たっている面は氷がやわらかくなっているので氷を割らずにアックスが決まってくれます。ですから簡単に感じます。
一方、完全なバーチカルではないこの課題は、日影なので氷が硬く、もろい為アックスで氷が割れてしまいます。かえって登りにくく感じました。
トランゴもピックのチューンで素晴らしいツールに大変身とは安藤さんの弁。
遊びつかれて家路につく