2004年冬

栃木県 足尾 松木川

夏小屋沢

2004/1/18

高野伸也、宮崎紀一、西村邦彦、川崎正雄、尾崎徹、上田益孝、賀来素明

山に行きたくて仲間に連絡を入れると、尾崎さんが1月18日に日帰りで足尾へ行くとのこと。同行をお願いするといつもの仲間が7人も集まった。尾崎さんと川崎さんは先週黄蓮谷を登ったとのこと。何度登っても黄蓮谷は魅力的らしい。
さて、今回の最大のトピックは西村さんのハンドメイドのアイスクライミングギアを知ったことである。これを知ることができただけでも価値があったと思うくらいである。ギアの選定にはいくつかのセオリーがあって、それにのっとって選択するのがクライミングの常識であったがこれらのいくつかが覆された。
このアイスクライミングギアで西村さんは黄蓮谷左股の大滝をソロしたという。

1月14日 快晴

草刈鎌のような西村のハンドメイドのアックス。
シャフト断面が角型なのでグリップを心配したが、これが狙いを定める為のコントロールに極めて有効。しかも抜群の軽さ。

ピックはカジタを使用しているが先端の加工に独特のノウハウがあり、氷を割らずにバシッと決まる。
アイゼンもカスタム。カジタをモノポイントに改造したもの。

このモノポイントの刃の角度こそノウハウのかたまりらしい。角度の修正を三回行ったという。
人を食ったようなブーツ。ご覧の通りトレッキングブーツである。

ブーツとアイゼンの従来の常識をあざ笑うように西村は高難度のアイスを登る。

私達の世代の憧れの的であった池学氏が冬山をスパイク付ゴム長靴で登っていたというが、それに似る。
ピックの先端がほんのわずかに食い込むだけだが、ピックの形状が優れているのか、氷に亀裂が入らない。
しかも靴が軽く柔軟性に富んでいるので、フリークライミングのようなスメアリングやキョン足すら可能である。

このショットを撮影する前に素晴らしいシーンを見ることができた。
西村が右のアックスを打ち込んで左のアックスを打ち込もうと振り上げた瞬間に右のアックスを打ち込んでいた氷が大きく剥離。
その瞬間両手のアックスは空中にあるという状況。普通ならこれで墜落してアイゼンが氷に引っかかってくるぶし骨折なのだろうが西村はしぶとい。
空中に体が放り出された瞬間に左のアックスを打ち込み左手だけで足ブラ。
まるでクライミングジムの人工ホールドへランジした瞬間のような状態。
氷の壁での足ブラを初めて見た。

一方、剥離した氷は尾崎に当たった。
氷塊は数kgはありそうな代物で、これが尾崎の顔面を直撃したのだからたまらない。
一部始終を見ていた私が怖気づいたほどだった。
西村のかぶるドカチンヘルメットに
「コマーシャリズムに踊らされるな。従来の固定的な概念を払拭せよ」
とのメッセージすら感じる
F4は、滝壷の釜が結氷していなかったので、ここから下降。懸垂下降用のロープをセットする、健全なクライマー高野と初老のクライマー上田のツーショット
数年前に還暦を迎えたクライマー川崎
先週は尾崎と黄蓮谷右俣を登ったという。
林道を時速6kmで歩く姿に敬服
今回の山行をプロデュースした尾崎
何から何までお膳立てしてくれた。

そして後姿は5.13クライマーの宮崎